
前回のコラムでは「なぜ姿勢が悪いと良くないのか」について書きましたが、今回は姿勢が悪いことの弊害について、もう少し踏み込んで書いてみたいと思います。
今回のテーマは『ストレートネック』。最近は「スマホ首」と言われたりもしていますね。
昔は小学生でストレートネックになるなんてことはほとんどありませんでしたが、近年はスマートフォンの普及に伴って、子どものストレートネックも増えています。
子どもたちの姿勢と健康を守るためにも、姿勢の正しい知識を身につけていただきたいと思います。
ストレートネックとは
読んで字のごとく、首が真っ直ぐな状態のことを言います。
真っ直ぐという言葉の響きが姿勢の良さを連想させてしまいますが、首は本来前側にゆるやかな弧を描いているのが理想的です。カーブがあるおかげで、重たい頭を支えている首の負担や衝撃が和らぐのです。このカーブは赤ちゃんがうつ伏せやハイハイをする過程で完成した大切なカーブです。
誰もが年齢とともに少しづつストレートネックに近い状態になってはいくのですが、ゲームやスマホの影響でストレートネックの低年齢化が進んでいます。さらに、オンライン授業の導入や学校で一人一人にタブレットが配られるようになれば、ストレートネックの低年齢化はさらに加速していくでしょう。
一度なくなってしまったカーブを取り戻すことはとても難しく、理想のカーブに戻ることはありません。
ストレートネックの3つのデメリット
【1】自律神経が乱れる
背骨の中には、運動・知覚・自律神経という3つの神経が通っています。姿勢が悪く、理想のカーブが崩れるとこれらの神経に悪い影響が出てしまいます。
自律神経は内臓の働き、体温、血圧などを調整しているので、姿勢が悪いと内臓の機能低下につながる可能性も高まります。自律神経失調症という病気があるくらいです。自律神経が背骨の中を通っていることを考えると、姿勢(背骨)がいかに大切かが分かると思います。
【2】椎間板に負担がかかる
背骨の骨と骨の間にある椎間板という組織に負担がかかり続けると、厚さが徐々に薄くなっていきます。歳をとると身体がしなやかに動かなくなるのは、椎間板が薄くなり、関節がなめらかに動かなくなるからです。椎間板の劣化により、椎間板ヘルニアや圧迫骨折の発症リスクが高まります。
【3】脳と体をつなぐ神経の伝達が悪くなる
7つある首の骨のうち、上から1・2番目の骨と後頭部をつなぐ筋肉には、体の中のあらゆる情報を脳に伝えるためのセンサーがあります。そのセンサーは、筋肉の伸縮で情報を感知し、体がどのような状態にあるのかを脳に伝えます。
他の筋肉にもセンサーはあるのですが、後頭部と首をつなぐ筋肉には、そのセンサーの数がとび抜けて多く、密度も高いのです。
つまり、ストレートネックになり、関節の動きが悪くなると、脳は体で何が起きているかを把握・処理できず、体に正しい指令を送ることができないというわけです。
もしアスリートがストレートネックで関節と筋肉がうまく機能していなければ、体をうまくコントロールできないでしょうし、ケガのリスクも高まることになります。
また、体の不具合をうまく把握できなければ、それを正すための指令を送れないということになりますので、病気の原因になってしまうこともあるでしょう。
子どもの健康上の問題は、姿勢の悪さや背骨の機能低下と関係していることがよくあります。子供の不定愁訴でお悩みの方は、まずはお子さんと一緒に姿勢を見直してみてくださいね。
ストレートネックを防ぐために気をつけたいこと
・スマホやPC、ゲーム機器を使う時は、30分おきにアラームを鳴らし、まめに休息をとること
・下を向いて行う動作、手元で長時間の作業をしたあとは、上を向く、肩を後ろに回したり、肩甲骨を寄せるストレッチを行うこと
・ストレートネックを予防する意識をもち続けること
避けたい姿勢



この記事を書いた人:中村貴博(大倉山・カイロプラクティックTAKUMI院長)
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